太陽の塔

森見登美彦

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった！クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

「もし、予定があるなら、俺はいいぞ。俺一人でもやるからな」
「私を見損なうな」

モリミーのデビュー作。
ファンタジーノベル大賞は、畠中さんといいモリミーといい、素敵だなぁ！

上記のシーンはほんとくだらないというか意味のわからない計画を実行するにあたっての会話なのだけれど、普通に考えて感動する要素ゼロなはずなのに、かっくいー！と思ってしまいました。うん、かっこいいと思います。男汁にやられた…（笑）こうしてええじゃないか騒動がクリスマスの京都の街に巻き起こる…！
クリスマスについて熱く語っているところとか、爆笑してしまいました。モテない人間のひがみじゃないか！とも思うのだけど、なぁ～んか納得しちゃう。

京都の大学生のお話だから自然と京都の町並みなどが出てきて、情緒溢れる幻想的な雰囲気を醸し出しています。『鴨川等間隔の法則』には笑った…！ローカルネタじゃないのかこれ！というか全体的にローカルネタ満載で、土地を知っている者としては「そうそう！」と思うことも多くって。（でもゴキブリキューブは見たことないですよ笑）

愛すべき男たちが男汁をにじませながら、少し物悲しい日々をおくっているお話で、ほんとなんだか良くわかんないことばかり起こるんだけど、読み終わってみたら素敵なお話を読んだなぁ～と胸がほっこりしました。でも物語を振り返ってみると何故だ！と思っちゃうのですが…。（汗）
モリミーの文体とか物語の雰囲気とか、凄くツボです。大好き！