マリア様がみてる マーガレットにリボン

今野緒雪

下級生への、バレンタインデーのチョコのお返しを、遊園地のお土産のクッキーとキャンディーに決めた祐巳、由乃、志摩子。せめてラッピングは自分たちでしようと、リボンを持って薔薇の館に集まったけれど、どうもパッとしなくて…。ラッピングについて語り合ううちに、三人の話題は、お姉さまのこと、卒業した薔薇さまのこと、イタリア修学旅行のこと…とどんどんひろがっていって。

この短編集は雑誌掲載時どういう感じだったんだろう？と読みながら不思議に思っていたのですが、書き下ろしだったのですね！納得です。
すごく些細なエピソードが、下級生へのバレンタインのお返しを考えている祐巳たちの会話から派生して紡がれていきます。ああ、そういえばそんなことあったねぇ、と思わずふふっと懐かしんでしまうような短編集でした。
個人的には志摩子さんの家の事情にじわりときました…お兄さん良いひと過ぎる…！志摩子が好きな様に生きていけるのが良いって思ってくれる様な人がそばにいてくれて、素敵だなぁと思いました。両親の事もあって、彼女はあんなにも宗教に敏感だったのでしょうね。でも、乃梨子ちゃんだけじゃなくて、祐巳や由乃さんにも言えるようになって…心を許せる人がたくさん出来たんだね志摩子さんは…。
個人的には聖様と志摩子のスールがとても気になる存在だったので、聖様と絡む志摩子さんがもっと見たいと思っていたんだけれど、イタリアの話で聖様がどういう風に考えているのかがわかって、この二人はそういうスールなんだなぁと。そういう所も含めて好きです。

あと、乃梨子ちゃんと瞳子ちゃん、本当に聞き分けの良くて出来た妹たちで…特に瞳子ちゃんは妹になってからずいぶん落ち着いて。お姉さまが出来たから心が安定しているのでしょうか。もっとワガママを言う瞳子ちゃんも見たいなぁと密かに楽しみにしています（笑）。

そろそろお姉さま方が卒業ということで…どうなるんだろうマリみてシリーズ。楽しみでもあり、寂しくもあります。