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超個人的読書記録 ――時間のある時のみ感想も(ネタバレ注意!)
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あした吹く風
あさのあつこ

父が不倫の末に事故死した功刀鈴/夫が自分の親友と不倫した来野美那子、愛を避けていた二人が、どうしようもない愛を知る。少年17歳、女性34歳、出逢ってしまった二人。

最初表紙がただの空だと思っていたのですが、よくよく見たら「裸体っ!?」と気付いてしまって物凄く焦りました(笑)。

お話ですが…あの、私、物凄く好きなのですけれども……!!
簡単に言うと34歳の女性と17歳の少年の恋愛小説、ということになるのですが…そういう事じゃないのですよね。ううん。どう表現すればいいのかわからないのですが。

一番「そうなんだよ!」と思ったのは、鈴くんが美那子さんに「美那子さんを抱きたい」「女とセックスがしたいって意味じゃない」と言った所です。私が、物語の中で誰かを愛してしまった登場人物(特に男)に言って欲しいことって、これなのです!
この感じって、あれですよね…BLにおける「たまたま好きになった奴が男だったんだ」に似てる気がします(笑)。(どんな例えだ)
相手を知りたい、相手に近づきたい…その衝動の結果の行動であるからこそ、意味のあることなんだと思う。同じ行為でも、全然違った意味を孕んで来る。
こういうのって女の人独特の考えなんじゃないかな…と勝手に思っていたりします。この若さで、そういう所まで頭のどこかでちゃんとわかっている鈴くんは、素晴らしい!ほんと良い男だと思います!


二人の関係は全然“普通”ではないのだけれど、とても惹かれるもので。大好きな人が居て、その人と結婚して子供を作って幸せな家庭を育んでいく…というのが社会的に普通の幸せだと思うのですが、二人の関係はそういった普通の幸せが容易に見いだせるようなものではなくて。歳の差はあるし片方はバツイチだしもう片方は未成年だし。
大人とか子供とか、歳の差とか立場とか、そういうものを含めて全部背負って、相手と生きていきたいと思うこと。そう思えることっていうのはとても稀有なことなのだと思います。一時の感情で突っ走っているだけだ、とか、そういうことではない、もっと大切なことがこの話の中にある様に思いました。う、うまく言えないけれど…

自分の内側に素直に生きる、っていうのは、歳を重ねるにつれ、確実に難しくなって行きます。自分を騙して行かないと社会との折り合いが付かず、社会不適合者のレッテルを貼られかねない。上手に妥協して、自分も周りも騙すことの出来るのが、大人なのだと思います。
それを把握した上で、自分の内側に素直に生きる姿が描かれているのではないかな、というのがひとつ、この話を読んで私の中にありました。


あと、美那子と芙美の関係にもぐっと来るものがありました…うん…うん…(言葉にならない)
とにかく、凄く好きな話なのですが、もう一度読み直すとなると…結構辛いものがあります…うう。
もうちょっと美那子や鈴の生きる世界をのぞいていたかったな、というのがありました…続編、とか…
でも、この話はここの部分しか語られないからこそ意味のあるもののような気もします。
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